現代妖怪会談
キツネが鼻頭をさわると言う。

「それじゃあ、巫を探さないとダメですね。」

犬神が言う。

「偽物は見極められるけど、本物もだいぶ減ってるんじゃないかや?」

タヌキが言う。

「確かに、昔は寺の住職や神職の者はかなりの確率で力を持ってたけどなぁ。」


キツネが言う。

「神道系や仏教系、最近ならキリスト教系の霊能者もいると聞いてます。」

犬神が言う。

「陰陽師ってのは、もういないのかや?」

キツネがこたえる。

「もちろんいますよ。でも陰陽師も神道系と仏教系に分かれますし、我々には陰陽道は難しすぎて体系の説明ができません。」

タヌキが天井を見ながら言う。

「キリスト教……エソクシスト…とか云う奴らか?」

キツネが言う。

「なんか違うような…」

タヌキが眉間にシワを寄せて目をつぶり言う。

「エソ…エス…エク…エクソ……シル?エクソ汁?」

犬神が言う。

「タヌキさんは、そのエクソ汁を知っている感じじゃが?」

タヌキは左目だけ開けて犬神を見て言う。

「100年ほど前に、教会にイタズラに入ったときに恐らく会ったと思うんやけどな。」

キツネが言う。

「へぇ~。興味深いですね。」

タヌキがモゾモゾと座り直すと咳払いして話し出す。

「あれは、神戸港の近くの教会やった。
エクソ汁の連中は俺たちを悪魔と呼ぶ。」

犬神が言う。

「悪魔?悪鬼とかじゃないのかや?」

タヌキが言う。

「西洋の奴らはガサツやから、妖怪も幽霊も一緒にしてまうわけよ!」

そう言ながら、そこそこ大きいオナラをこく。

キツネが鼻を押さえながら言う。

「デリカシーがないですね。」

タヌキが言う。

「その通り!西洋の霊媒師は、デリカシーの欠片もないんや!」

犬神は「ん?」と一言発したが、タヌキが話を続けるため流されてしまった。




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