現代妖怪会談

タヌキが笑うのを我慢しながら言う。

「さっき出た怖いモノって全部人間社会にあるものやん？そんなモノに化けて怖がるやろか？」

キツネが半笑いのまま言う。

「確かに、山道に突然歯医者が現れても怖がるより、避けて通られるだけですね。」

犬神が気を取り直して言う。

「妖怪だってことをわかってもらわないと…」

タヌキが言う。

「そこなんやなぁ…いきなり都会に鬼や天狗が現れても西洋のお盆やと思われるで？」

キツネが言う。

「ハロウィーンは、日本に根づきだしてますもんね。」

犬神が言う。

「あれは、一体なんなんじゃ？」

キツネが肩を右手でトントンしながら言う。

「日本のお盆は地獄の釜が開いて、先祖が帰ってきますけど、西洋のお盆は、先祖と悪魔が一緒に帰ってくるみたいですね。だから人間は悪魔の格好をして悪魔に連れていかれないようにしているらしいのです。」

タヌキが言う。

「もともとは、収穫祭だったって言われてるな。カボチャの面も元々は、カブだったって言うし、その時期に帰ってくる提灯の悪魔が有名になって今の流行りになったんやろ。」


犬神が言う。

「そのハロウィーンと違う時期に百鬼夜行するってのはどうじゃ？」

タヌキが皮肉の様に言う。

「安倍晴明みたいなヤツらが今の日本におると思うか？百鬼夜行に気づいても、それこそハロウィーンの団体やと思われるで？」

キツネが頷き言う。

「それに、百鬼夜行日は決められてますしね。決められた日じゃないと良くない事が起こりますしね。」

犬神は、下を向いて黙る。

タヌキが言う。

「家鳴りなんかは、巧いことやったよな。ポルターなんちゃらって名前で呼ばれてるもんな。幽霊と仕事が一緒やもんな。」

キツネが怒り気味に言う。

「幽霊と同じと思われてるのも腹が立つけど、それで納得してる家鳴りにも責任がある！」

犬神が首を出して言う。

「妖精なんかはどうなってるが？」

タヌキとキツネが目を合わせる。