現代妖怪会談
キツネがタヌキに言う。

「妖精って精霊のことでしょうか?」

タヌキが犬神に聞く。

「そうやんな?」

犬神はタヌキに言う。

「妖精は、精霊と違うのかじゃ?」

タヌキは、耳を立てたり寝かしたりしながら言う。

「犬神はん、一般的には妖精ってのは西洋の言い方で、日本では木霊(こだま)のことを言うわけやで?精霊ってのは、もっと儚い薄い存在で原子みたいなもんやな。」

キツネが続ける。

「最近の人間も、違いをよくわかってないようですが、犬神はんは年齢はおいくつなんでしょうか?」

犬神は、聞かれたくないことを聞かれたのか、鼻をヒクヒクさせながら答えた。

「え~…齢30歳…」

タヌキが驚いて言う。

「ホンマか!?それはホンマなのか!?」

キツネが聞く。

「じゃあ、それまではただの犬?」

タヌキがダメ押しの様に言う。

「犬?犬ぅ~!?」

犬神が大きめの声で反抗するように言う。

「これでも大金持ちの家で飼われていたんじゃ‼」

タヌキが目玉を丸々させて言う。

「飼い犬ぅ~!?」

キツネが大笑いする。

タヌキは続ける。

「犬の時の名前は?犬の時の名前!」

犬神は、頬を赤らめて下を向いて小さな声で言う。

「チョコ…」

タヌキが聞く。

「なに?」

犬神。

「チョコ…」

タヌキ。

「チョコ?」

犬神。

「うん…チョコ」

タヌキとキツネが同時に腹を抱えて後ろへ倒れて大笑いした。



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