現代妖怪会談
ひとしきりタヌキとキツネは、大笑いしたあと座り直して咳払いをした。

キツネが再び進行しようと思い言う。

「えっと…妖怪は、これからどうやって存続していくのか?それが問題であります。」

犬神は下を向いたまま黙っている。

タヌキが言う。

「やっぱり、妖怪の中でも有名処が人間に認知されるべきじゃないやろか?」

犬神がタヌキを下からなめるように見て言う。

「有名処?」

キツネが上を見ながら言う。

「カッパとか天狗とか…あとは?」

タヌキが考え込む。

「う~ん…第一線は、そのあたりかな?続くのは、いっぱいおるけどなぁ。」

犬神がタヌキに聞く。

「じゃあ、二番目って誰じゃが?」

タヌキは、犬神を見ると…

「ガーハッハッハッハッハ‼こっち見るなよ!チョコ~!」

我慢でききらずに笑ってしまった。

キツネは、笑うのを堪えながら言った。

「ぐふぅ~…人間のテレビで有名になった連中ですかね?」

タヌキは、その会話を余所にまた倒れながら笑う。

犬神は、キツネに聞く。

「誰じゃ?」

キツネが答える。

「ぬりかべとか、一反もめん、子泣きジジイ、ぬらりひょんとかですかね?」

タヌキが床に伏せ笑いながら言う。

「ぬらりひょんなんて今更やな!もう引退したんちゃうの?」

犬神が言う。

「ぬらりひょんは、まだ活動しちゅーが?」

キツネは、少し考えると言う。

「活動はしてるけど、人間に気づかれてないはずですよ?」

タヌキがまだ寝たまま言う。

「人間は、せわしないからな。」

犬神が言う。

「ぬらりひょんは、ワシと同じく神の類じゃ。」

タヌキが言う。

「零落組なわけや…」

キツネが続けて言う。

「客人神(まろうどがみ)やったわけですからね。」

タヌキが言う。

「客人神やったら、なまはげがおるやん。」

犬神が言う。

「なまはげもワシと一緒で、地方での知名度だけで日本全体での知名度は低いが。」

キツネが言う。

「地方でも、じゅうぶん第一線の知名度はあると思いますけど…」

タヌキが言う。

「第一線でこのレベルやったら、かなりキツいなぁ…でも地方妖怪に頑張ってもらわんとなぁ…」



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