健康診断の甘い罠
「今度、ちゃんと遊びに来てね。じゃ、ちょっと待っててね」
そう言って車を降りて歩いて行く和弥くんを見送ってハアッと息を吐く。
なんか、すごい迷惑かけちゃったな。
ああいうの久しぶりだったし、やっぱり怖かった。思い出すと身体がブルッと震える。
そして気付く。和弥くんが本当に私を大切にしてくれてることに。
ああいう風に、私の意志を無視して触れてくることを和弥くんは絶対にしない。
いつも私のことを考えて行動してくれてることに気付いて、胸がいっぱいになってまた涙が出てくる。
今日も、来てくれてすごく嬉しかった。十分なんてかかってなかったから、すごく急いで来てくれたんだろうし。
ハンカチで顔を覆って涙を拭くと、運転席のドアが開いて運転席に乗り込んできた和弥くんが心配そうに私を見ている。