健康診断の甘い罠
「……ごめん、急に抱きしめて。こうするの、嫌?嫌ならすぐ離れるから」
そう言われて、やっぱり和弥くんは私のことを考えてくれてるんだなと思うとたまらない気持ちになる。
「……大丈夫。嫌じゃない」
そう言って和弥くんの背中に手を回した私に、和弥くんがホッと息を吐いたのが分かった。
「今日、会社の近くでご飯食べてたんじゃないの?なんであそこの駅にいたの?」
「あ、ご飯食べた後に先輩の家にお邪魔してて」
背中と頭を撫でられながらそう聞かれて、そう答えた私に和弥くんは納得したように頷く。
服を借りに言ってた事は内緒にしておこう。驚いた顔、見たいし。
「今度から遅くなるときはなるべく迎えに行くから。言ってね」
私の髪に頬を擦り寄せながら和弥くんがそう言う。
「え?で、でも……そんなの悪いし」
そんなの迷惑なんかじゃないかと思ってそう言った私の身体を抱きしめる和弥くんの力が強まる。