健康診断の甘い罠

「……千紗の怯えて震えてる声聞いた時、心臓止まるかと思った。泣いてるの見た時も……焦ったし」


和弥くんの言葉に、胸がぎゅっと痛くなる。


すごい、心配してくれてたんだ。申し訳ないのと嬉しいのとが混じってぎゅっと和弥くんに抱きつく。


「でも、俺に電話してきてくれて嬉しかったよ。だから、もっと頼っていい。迷惑とか思わないから」


「……うん、ありがとう」


そう言うと和弥くんが優しく私の背中を撫でて髪にキスした。


「千紗、いいにおいがする」


そう言った和弥くんが髪に顔を埋めて息を吸い込む。吐き出した吐息がちょっとくすぐったい。


「和弥くんは、いつもと違うね」


いつも近付くとする香りがしなくてそう言うと和弥くんが私の顔を覗きこむ。


「ああ、香水つけてないからね。千紗、分かってたんだ。かなり近付かないと香りしないでしょ?」


そう言われて頷くと微笑んだ和弥くんが私の頬にチュッと音をたててキスする。


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