健康診断の甘い罠
「か、和弥くん。非常にやりづらいんですが」
一応そう言ってみるけど、髪に頬を擦り寄せる和弥くんは離れてはくれない。
うん、分かってた。和弥くんはこういう時は譲ってくれない。
「うーん……でも、離れたくはない。多少協力はするから、頑張って千紗」
やっぱりそう言われて冷蔵庫を開けて材料を取り出すけど、ドキドキして上手く頭が働かない。
「いつも朝ごはん何食べてんの?」
「お、おにぎり……」
絶対笑われると思ったけど正直にそう答えると案の定、和弥くんは笑い出す。
「ちょっ、和弥くん。くすぐったい」
「ああ。ごめん、ごめん」
息が耳とか首にかかってくすぐったくて身を捩る私に和弥くんは笑いながら謝るけど、なんかわざとされてる気がする。
いや、絶対わざとだ。