健康診断の甘い罠
和弥くんにくっつかれたまま何とか朝食を作り終えた私をやっと和弥くんは離してくれる。
ご飯炊いてなかったから、普通にトーストにウィンナーと目玉焼きとサラダ、野菜のスープだけど和弥くんは何か嬉しそうだ。
「千紗の初手料理だ。いただきます」
和弥くんが手を合わせるのを見て私も手を合わせる。
「いただきます」
二人で並んで食べる朝食は、少し気恥ずかしいけどお腹が空いてたからすぐにそんなことを忘れて食べることに夢中になってしまう。
「千紗って、本当にいい食べっぷりだよね。俺、顔ぐらいあるっていうおにぎりがすごい気になってるんだけど」
おにぎり引きずってるなぁ。いや、大好きだけど。
でも、顔は言いすぎだと思うんだけど……標準よりは大きいかもだけど。
「そう言われると見せたくなくなる」
「そう言われると絶対見たくなる」
パンを頬張りながら和弥くんをちょっと睨む私を見て和弥くんが目を細めて笑う。