健康診断の甘い罠

「千紗のその反抗的な顔、俺好きなんだよね。なんかそそる」


その言葉に慌てて目線をそらす私を見て、和弥くんが低い声で笑う。


「俺に勝つにはまだまだだね」


そう言われて和弥くんを見ると、勝ち誇った顔をしていて悔しくなる。


経験値が違いすぎて、勝てる気がしないし。


最後の一口のパンを頬張って私は勢い良く立ち上がる。


「準備、する」


今日は頑張ってお洒落して、和弥くんのことビックリさせてやるんだから。


「俺、ここにいて大丈夫?」


「うん、大丈夫。寝室で着替えるから。ちょっと先に片付けしちゃう」


朝ごはんの片付けをしようと食器を下げて洗おうとすると和弥くんが私の手からスポンジをとる。


「俺やっとくから、千紗準備していいよ」


そう言われて和弥くんを見上げると、少し笑った和弥くんが私の頬にキスする。



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