健康診断の甘い罠
和弥くんのことをビックリさせてやろうなんて、さっきまでの意気込みはどこへやら。
自信がない私は和弥くんの待っている部屋をそうっと覗く。
和弥くんはもう準備が終わったみたいで白いシャツに私が前に選んだネイビーのカーディガンを羽織って、ベージュのチノパンをはいている。
コンタクトにしたのか眼鏡もかけてなくていつもの和弥くんだ。
私に気付いた和弥くんが私を見て微笑む。
「千紗、準備終わった?」
そう言われて頷いて、私はありったけの勇気を振り絞って和弥くんの前に出る。
和弥くんが、驚いたように目を見開いて立ち上がった。
あまりにもじっと見られて恥ずかしくなった私は足を鞄で隠した。
「へ、変、かな?」
自信がなくてそう聞くと和弥くんが私の肩に右手を置いて、左手で私の頬に触れる。