健康診断の甘い罠
きっと和弥くんはそんなことないんだろうな。
ちゃんとしたお付き合いは初めてとは言ってたけど、遊んできたとは言ってたし。
和弥くんが他の女の人を抱きしめてる姿が浮かんで私は頭を振る。
そんなこと考えても仕方ないし、今、ちゃんと大切にしてもらってるって分かるのに……なんかそんなことを考えるなんて贅沢な気がする。
まだ和弥くんに全部を預ける勇気もないくせに、そんな風に思うのはわがままだ。
そう思ってため息をつくと、インターフォンが鳴ってビクリと身体が跳ねた。
誰が来たのかを念のため確認すると、和弥くんでホッとしてドアを開けると私を見た和弥くんが驚いた顔をする。
「ちょっ、か……わいいんだけど。めちゃくちゃかわいい。かわいすぎて、ちょっとヤバイな」
そう言って和弥くんが私を抱きしめる。ぎゅうっと抱きしめられてちょっと苦しい。
髪に額を擦り寄せて頬にチュッとキスした和弥くんが嬉しそうな顔で私を覗きこむ。
「今日はかわいい千紗、一人占めできるね。荷物は?」
そう言われて荷物を持って玄関に行くと和弥くんが荷物を持ってくれて私に笑顔で手を差し出す。
「おいで、千紗。行こう」
差し出された手を握ると和弥くんが本当に嬉しそうに笑った。