健康診断の甘い罠
「千紗?どうした?」
唐突な私の行動に不思議そうな顔をした和弥くんがそう聞いてくる。
「な、なんでもない」
そう言う私を訝しげな顔で見ていた和弥くんだけど、何も聞いてはこなくてちょっとホッとする。
「じゃ、このまま映画でも見よう。適当に借りてきた」
そう言って和弥くんはリモコンを操作してもうセットしてあったらしいディスクをかける。
和弥くんは割とインドア派らしく私と付き合う前は休みの日はあまり外に出なかったらしい。
映画を見るのが好きだって言ってたから、こうしてる方が好きなんだろうな。
今まで出掛けたりしてくれてたのも、私のためで。私がいきなり密室だと無理だからだろうし。
もしかしたら無理してたのかもしれない。
そう思ったら胸がぎゅっとなって、和弥くんに喜んでほしいと思ったから頑張って和弥くんに身を預けてみる。
それを見てクスッと笑った和弥くんが私の頬に顔を擦り寄せる。