健康診断の甘い罠

「ダメ?大丈夫なら目つぶって、千紗」


ず、ずるい。和弥くん、絶対分かっててやってる。


だって前みたいに心配そうな顔してない。だけど、私も嫌だとは思ってなくて。


見透かされてるみたいで悔しくて和弥くんをちょっと睨むけど、それを見て和弥くんがまた嬉しそうに笑う。


だけど、それを嫌とは思ってないから私は大人しく目をつぶる。


「本当に千紗はかわいいね」


恥ずかしくて震えながら目をつぶる私に和弥くんが小さく笑った。


待ってるのって、なんかすごく長く感じる。


唇に吐息が触れて、心臓が壊れそうなくらいドキドキしてくる。


唇に和弥くんの唇が触れて、ビクッとして身体が強張る。


これ、私のファーストキスだ。


すぐに離れた唇に、目を開くと和弥くんの顔が間近にあってびっくりしてしまう。


「震えてるけど、大丈夫?」


ちょっとだけ心配そうにそう聞かれて私は慌てて頷く。震えてるのは、怖いからとかではない。


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