健康診断の甘い罠

なんか怖い人だと思ったけど、高倉さんと仲が良いなら悪い人ではないのかもしれない。


高倉さんが結城さんの腕に駆血帯を巻く。


「歩ちゃん、なんか締め方きつくない?」


そう言って笑う結城さんに高倉さんはニコッと笑う。


「そんな事ないですよ。んー、こっちのがまだいいかな?はい、千紗ちゃん」


そう言われて私は注射器を用意してもう一度血管を触るけど、やっぱり細い。


「手、冷たいね」


「あ、すいません。緊張してて」


結城さんにそう言われて謝るけど、だって今日採血した中で一番血管が細い。


「千紗ちゃん、失敗したら俺とデートしてね」


一生懸命血管を確かめているとそう言われて驚いて結城さんを見る。


「え！？」


動揺する私に結城さんはニヤッと笑う。


意地悪なその笑みにやっぱり怖い人かもと身構えてしまう。