健康診断の甘い罠

「は、恥ずかしいだけで……大丈夫」


そう答えると和弥くんは、安心したように笑った。


「じゃあ、本気出すから。もう一回目つぶって」


そう言われて驚いて身体を引こうとする私の腰に手を回した和弥くんがぐっと私の身体を自分の方に引き寄せる。


さっきよりずっと密着度があがって、ドキドキしすぎてどうにかなっちゃいそうだ。


「ほ、本気って……今ので終わりじゃないの?」


ちゃんと唇触れてたし、今のでも充分過ぎるくらいドキドキしちゃってて大変なのに。


そう言う私に和弥くんがおでこをくっつける。


「さっきのは千紗が嫌がらないか様子見。今からが本気キス」


そう言われてちょっと怖くなって逃げ腰になる私を和弥くんは更に強く引き寄せる。


「え、映画見ないの?」


焦りながらそう言うと和弥くんはニヤッと笑ってじっと私の瞳を見る。


「ああ、これ俺もう見たやつだから。千紗見てる方が楽しいし。千紗も見てなかったでしょ?」


確かに全然内容が頭に入ってこなかったけど、もう見たやつって。


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