健康診断の甘い罠

「……うーん、ちょっと予想外。思ってたより早いけど。だけどな……もうちょっと育てたいんだよな。千紗、おいで。ちょっと話しよう」


よく分からない事を言って笑った和弥くんが私の身体を引き寄せて頭を撫でる。


「俺が何で、女を信用しなくなったか……聞いてくれる?」


そう言われて頷いた私に和弥くんはニコッと笑う。


「俺って、いらない子供だったんだよね」


そう言って笑った和弥くんが話し出したのは、和弥くんの生い立ちだった。


和弥くんが物心ついた時にはお父さんとお母さんの仲は冷えきっていて、お互いに不倫してるような状態だったらしい。


「あの人達って二人とも一人では生きていけないタイプだったんだろうけど、俺が産まれて何かのバランスが崩れたんだろうね」


結局、和弥くんが小学生になる前に両親は離婚して、和弥くんはお母さんと暮らし始めた。


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