健康診断の甘い罠

「そんな人だからさ、感心するくらいとっかえひっかえ男を連れ込んでて。その時間、俺は雨だろうが雪だろうが外に出されるわけ」


よく公園で一人で震えながら時間が過ぎるのを待っていたと和弥くんは笑った。


「だからよく子供の頃は熱出してたな。それでも外に出されて……もう病気だったんだろうね、あれ」


そんなお母さんは和弥くんが中学生になると再婚して、和弥くんには年の離れた弟ができたけど……ますます和弥くんのことを邪魔者扱いするようになった。


「俺、父親にそっくりらしいから。顔も見たくなかったんじゃないかな。ちょっと、ここからは我ながらひどいから千紗に引かれそうであんまり言いたくないんだけど」


そう言って困ったように眉を下げる和弥くんの頬に触れる。


「言いたくないなら、言わなくてもいいよ」


そう言うと和弥くんはため息をついて私の肩に頭を乗せる。


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