健康診断の甘い罠
自分から話しかけたりするのが苦手で、女の子達の輪の中にも入れず男の子達にはいじめられて。
子供の頃のことを思い出すと今でもちょっと辛い気持ちになってしまう。
私にとってこれが一番最初の男の子に対する苦い思い出だ。
そんな私を気にかけてくれていた先生がいた。比較的若い先生で、私はその先生を信頼していたと思う。
その先生が、ある日豹変した。
子供だった私が気付かなかっただけで、豹変ではなかったのかもしれないけれど。
誰もいない教室で、抱きつかれて身体を触られて、荒い息遣いが頬にかかって気持ちが悪かった。
「かわいいね、山口さんは。君が悪いんだよ、こんなにかわいいから。いい子だから大人しくしててね」
なんでこんなことをされるのか分からなくて、恐怖で涙をこぼす私にその先生はそう言った。
その後、逃げ出した私は二度とその先生に近づかなかった。