健康診断の甘い罠
「和弥くんの、過去の人が気になるというか……嫉妬しちゃうんです」
私がそう言うと一ノ瀬さんは納得するように頷く。
「ああ。よく知らないけど経験豊富そうだもんね……結城さん」
一ノ瀬さんにそう言われて私は頷く。
「本人も遊んできたと言ってましたし。女性遍歴も聞きました」
私の言葉に一ノ瀬さんが驚いたように目を見開く。
「えー、そういうの話すんだね。でも、濃ゆそうだね、結城さんの女性遍歴……」
そう言われて和弥くんの話を思い出すけど、確かにちょっと普通ではなかったかもしれない。
仕方のない事だと思いつつ、それを考えるとやっぱり少し嫌な気持ちになる。
「濃ゆかったですけど。なんか、高倉さんて結城さんにとっての特別な存在なのかなって」
そう言った私に一瞬目を見開いた一ノ瀬さんが優しく微笑む。