健康診断の甘い罠
ふと、視線を感じて顔を上げると和弥くんがじっと私を見つめている。
「なんかああいうの見た後に千紗見ると本当にホッとするわ。心が洗われるっていうか……浄化される?」
見つめられてそう言われて私は首を傾げる。
「何、それ?」
よく分からないけど笑ってしまう私を見て和弥くんも微笑む。
「顔見れてよかった。午後も頑張れそうだわ。あ、千紗。今日の夜、千紗の家行っていい?抱きしめてキスしたくなっちゃった」
和弥くんにそう聞かれて私は赤くなりながら頷く。
「うん、いいよ」
高倉さんのことも、一ノ瀬さんの言う通り気になってるんだからちゃんと聞かないと。
「じゃあ、仕事終わったら行く。んじゃ、戻るね。千紗も仕事頑張ってね。くれぐれもナンパされないようにね。そんな事あったらすぐ報告して。助けに来るから」
「うん、大丈夫だよ」
そう言って和弥くんに笑いながら手を振った。
健診会場に戻ろうとして、トイレに行っておこうとそっちに向かう。