健康診断の甘い罠

「だ、大丈夫ですよ」


そう答えるけど、優しく声をかけられると涙が溢れそうになる。


だって高倉さんの旦那さん、なんか雰囲気とか目がすごく優しいから、気が緩んじゃうというか。


それを見て旦那さんは驚いたように目を見開いてから私の顔を覗きこむ。


「全然大丈夫じゃないよね。結城に意地悪された?」


そう言われて私は首を横に振る。


「和弥くんには、すごく大事にしてもらってます。ただ、私が自信がないだけで……ちょっと意地悪されたらグラグラしちゃったんです」


「意地悪って、結城じゃないなら誰に?」


素直にここの事務さんにと答えると旦那さんは顔をしかめてハアッと息を吐いた。


それから眉を下げて困ったように笑って私を見る。


「なるほど。何か大体分かった。あいつが俺の奥さんに手を出したとか言われた?」


そう言われて驚いて目を見開く私に旦那さんは苦笑いする。


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