健康診断の甘い罠

「ご飯もできてるよ」


どうしたんだろうと思いつつそう言って部屋の中に行こうとするけど、和弥くんが私の腕を掴む。


「ご飯作ってくれて嬉しいんだけど、その前に話したい」


そう言われて驚く私に、和弥くんが苦笑いをする。


「高倉さんに、千紗の様子がおかしかったって聞いた。言わないでって口止めされたけどって、何やってんだって……怒られた」


そう言って和弥くんは珍しく弱気な顔で私をじっと見つめて、それから気まずそうに目を反らしてまた私を見る。


「ごめん、千紗。俺、千紗が不安になったり悩んだりしてるの分かってた」


そう言われて、ビックリする私に和弥くんがため息をつく。


「歩ちゃんとの事、疑ってるんでしょ?俺が、歩ちゃんの事好きだったんじゃないかって」


和弥くんの言葉に私は息を呑んだ。分かってたんだ、私がそう思ってたの。

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