健康診断の甘い罠
「そんな顔しないでよ、嬉しいけどさ。高倉さんが、歩ちゃんのこと好きで好きで仕方ないのにバツイチな事とか、子供の事とかで踏み込めないでいたから背中を押してやろうと思っただけなんだけど」
そういえば高倉さんがそういう事があったとは言ってたけど。
なんか、方法が過激だったとか。
何となく疑いの目で見てしまう私に和弥くんが困ったように笑う。
「いや、高倉さんがあのまま踏み込めないでいるなら俺がもらっちゃおうかなとは思ってたけど……そんなことにはならなかったし、ね?」
おでこをくっつけてそう言われても私はまだ疑いの目で和弥くんを見る。
「方法が過激だったって、高倉さんが言ってた」
そう言うと和弥くんがバツが悪そうに私から目をそらす。
「抱きついたり、ほっぺにチューはしたかな」
和弥くんが高倉さんにそれをしている光景が頭に浮かんで、嫌な気持ちになって私は和弥くんを振り払って背を向けて急いで寝室に入る。