健康診断の甘い罠
「好きだよ千紗。好きすぎて、もっと好きになってほしくて。欲張りになってた。こんな風に思うのは千紗だけだよ、本当にごめん」
和弥くんのその言葉を、嬉しいと思う。すごく嬉しいけど、素直に嬉しいなんて言ってあげない。
私、怒ってるんだから。すごく、怒ってるんだから。
「し、知らない。もう、和弥くんなんて知らない」
そう言って和弥くんの事を振り払ってまた布団をかぶる。
「ち、千紗?」
焦ったように私の名前を呼ぶ和弥くんだけど、本当に知らない。
和弥くんは私の不安にも、嫉妬にも気付いてて。それをすぐに取り除こうと思えば出来たんだから。
それをわざとしなかったなんて、ひどい、ひどすぎる。
「……和弥くんなんて、嫌い」
「え!?嫌い!?」
そう言うと慌てたように和弥くんが布団から私を出そうとするけど本気で抵抗する。