健康診断の甘い罠

「千紗……ごめん、本当にごめん。土下座でも何でもするから許して?」


そう言われると心が揺れるけど、それじゃまた和弥くんの思うがままだと気付いてぐっと我慢する。


「やだ。許さないもん。私が許せるまで会わない。和弥くんもいっぱい反省して」


そう宣言すると、しばらく黙っていた和弥くんが深いため息をついた。


「……分かった。俺が悪いんだし。じゃあ、今日は帰るけど……顔だけ見せてよ」


弱りきった声でそう言われてちょっとだけ顔を出すと、眉を下げた和弥くんと目が合う。


「ほんとにごめんね。泣かせて、ごめん。千紗……好きだよ。すごい好き」


そう言われて頬に触ろうとした和弥くんから私はまた布団に隠れる。


触れられたら、全部、全部許しちゃいそうだから。


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