健康診断の甘い罠
せっかく来てくれたのに、申し訳ないなとは思うけど。
でもわざとやってたなんてやっぱりひどいと思うし、いつまでも和弥くんの罠にはまってばかりいられない。
たまには反撃しないと、やられてばかりは悔しい。
それに今回はちょっとやりすぎだと思う。全部分かってたっていうのが腹が立つ。
すごく苦しくて、痛かったのに。そんなことばかり考えてしまう自分を嫌いになったし、和弥くんに嫌われたらどうしようってすごく怖かった。
「和弥くんのバカ……」
そう呟いて、テーブルに並べた料理を見つめて目に涙が滲んだ。
今頃一緒に食べてるはずだったのに、そう思うとまたすごく悲しくなってくる。
私は目に浮かんだ涙を手の甲で拭った。
「ご飯……食べよう」
深いため息をついて、和弥くんと食べようと思って作った冷めてしまった夕飯をちょっと寂しいと思いながら食べ始めた。