健康診断の甘い罠
「はい、電話で毎日駄々こねられてますから。ちょっとノイローゼになりそうでした」
もしかして高倉さんの旦那さんにもあんな感じで絡んでるのかな。
だとすると本当に申し訳ない。ああなった和弥くんの相手するの、なかなか大変だと思う。
駄々をこねる子供ってこんな感じなのかなって思った。それをなかなか許さない私もひどいけど。
私がそう言うと高倉さんがプッと吹き出した。
「それで許してあげない千紗ちゃんもなかなか頑固だね。ちょっと意外」
高倉さんにそう言われて私は苦笑いする。だってやっぱり許したら負けな気がするんだもん。
全部、和弥くんの思い通りになってる気がして、なかなか許すの一言が言えない。
「だって和弥くんの思い通りになってばかりじゃ悔しいですし。高倉さんの旦那さんにはご迷惑をかけて申し訳ないですけど」
ちょっと唇を尖らせてそう言う私を高倉さんが抱きしめる。