健康診断の甘い罠
その夜、いつもの時間に電話がかかってきて私は携帯を耳に当てる。
「もしもし」
『千紗?まだ怒ってる?まだダメ?千紗、本当にごめんね。本当に本気で反省してるから許して。千紗、本当にごめん』
毎回電話に出るとすぐにこうやってたくさん謝られるけど、高倉さんに言われたせいか今日はすごい声が弱ってるように感じる。
『ねー、千紗。まだ許せない?俺、もう限界なんだけど。三週間以上も会えてない。ほぼ一ヶ月だし。反省文提出するし土下座もするし本当に何でもするから許して』
必死な感じでそう言われてちょっと胸が痛む。
少し意地を張りすぎてしまったと思ってるから余計かもしれない。
『会いたいし、触れたい。本当に限界でやばいんだけど。ほんとにやばい、どうにかなりそう。千紗はまだ俺に会いたくない?俺の事好き?』
この俺の事好き?も、毎日何回も聞かれてる。