健康診断の甘い罠
「男が?それとも俺が?」
顔を覗きこまれてそう言われて、どうして分かるのかと驚いて戸惑う私に結城さんは更に笑みを深くする。
「面白いね、千紗ちゃん」
そうがどういう意味なのか分からずに眉間にシワを寄せる私に結城さんが顔を近付ける。
「かわいいって言われるの嫌いなんでしょ?違うの?」
そう言われてまた目を見開いてしまう私に結城さんはククッと低い声を漏らして笑う。
「ねえ、千紗ちゃん。俺と付き合わない?」
え、今……この人何て言った? 付き合うって、いわゆる恋人関係になるって事だよね。
「……は!?」
予想外すぎるその言葉に驚きすぎて一歩下がる私の腰を結城さんが引き寄せる。
「危ないよ、そこ。また転んじゃう」
そう言って振り返ると私の足元に段差があった。
「男が苦手なの、治したくない?」
すぐに私の身体を離してくれるけど、顔を寄せられて耳元で囁かれてビクリと身体が震える。