健康診断の甘い罠
迷惑そうな顔をしている和弥くんが私に気付いて、驚いたように目を見開いた。
久しぶりに見つめられて、何だか緊張してしまって身体に力が入る。
女の人に何か言った和弥くんが驚いた顔のまま私の方に歩いてきて、ぐいっと私を引き寄せる。
「えっ、か、和弥くん」
いきなり抱きしめられてビックリして戸惑った声をあげる私を和弥くんは更にぎゅうっと抱きしめる。
「ちょ、か、ひ、人が……」
離れてくれると思ったのに逆に密着度が高くなって動揺する私に和弥くんが更に腕の力を強める。
「ああ、千紗だ。すごい久しぶりだから千紗がいるって実感したくて。それに……」
和弥くんが身体を離して嬉しそうに私を見る。
頭のてっぺんから足の先までじっと見られて恥ずかしくて赤くなってしまう。