健康診断の甘い罠
「会えない間、千紗の事ばっかり考えてた。寝ても覚めても千紗のことばっかりで、好きって気持ちが募りすぎて自分でもビックリだよ。何回千紗の家に押しかけそうになったか」
目を細めて笑う和弥くんが私の手の甲に唇で触れる。
「だけど拒否されるのが怖くてできなかった。こんなになったの、初めてだよ。だから、今日は千紗と一ミリも離れたくない」
そう言った和弥くんが私の目を真っ直ぐに見つめる。
澄んだ真っ黒な瞳に見つめられて、心拍数が跳ね上がる。
う、わ。ど、どうしよう。ちょっと、いや、すごく心臓に悪い……かも。
まさか和弥くんがこんな風になるとは思ってなかった。
案外、和弥くんて寂しがり屋なのかもしれない。
だけどこんなにくっつかれるのは、予想外すぎてちょっと困る。