健康診断の甘い罠
「か、和弥くん。あ、暑くないかな」
一ミリも離れたくないという言葉通り、和弥くんは私にピッタリと寄り添っている。
立ち止まれば肩とか、腰を抱かれるし、至近距離で顔を覗きこんでくる。
隙あらば頬とか髪にチューしてくるし。
ベンチに座っても肩を引き寄せられてベッタリくっつかれて。
お昼ご飯を食べている時でさえ、ずっとどこかに触れていてずっと見られてて落ち着かなくて味が分からなかった。
海沿いの公園だから風があって涼しいけど、こんなにくっついてると色んな意味で暑くなってくる。
「俺は平気だけど。千紗、暑い?涼しいとこ行く?俺の家とか」
ニヤニヤしながらそう言われて、なんか悔しい。
だけど、ここで一日ずっとくっつかれてるよりその方がずっといい気がしてきた。