健康診断の甘い罠

「うん、まあ。うちの旦那さんの後輩なんだけど……色々危ないからさ、結城さん」


そう言って高倉さんが私を疑うような視線でじっと見る。


「本当に何もされてない?」


「さ、されてないですよ」


危ないというか、不思議な人というかなんというか、掴み所のない人だった。


本気なのか冗談なのかよく分からないし、いや本気って言ってたけど。


でも別に何かされた訳ではないからそう答えると高倉さんはならいいけど、と微笑んだ。


「なんか、結城さん千紗ちゃんのこと気に入ったような気がしたから」


気に入った?……気に入られた、気はしないでもないけど。

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