健康診断の甘い罠
「次は千紗ちゃんかな?」
コソッとそう呟かれ私は赤くなった。
「そ、そんな。順序がありますから」
まだ結婚もしてないのに、そんなの気が早すぎる。和弥くんとそういう話した事ないし。
「それはそうだけど。なんかそう遠くない未来な気がするよ」
そう言って微笑む高倉さんは、お母さんの顔をしている。
腕の中でスヤスヤと眠っているほのかちゃんを見て、赤ちゃんてすごいな、と思う。
旦那さんはもうお父さんだし、高倉さんはお母さんだ。
この子が生まれたことで色んな事が変わるんだもんね。
赤ちゃんて本当にすごいパワーを持ってるなと思う。
赤ちゃん見てると自然に笑顔になるし、ずっと見てても全然飽きないな。
そう思っていると視線を感じて、顔を上げると和弥くんがじっと私を見ていた。
どうしたんだろうと思って首を傾げると、困ったように笑って目をそらす。