健康診断の甘い罠
「高倉さん、出産立ち会ったんですよね?」
「うん。よかったよ、立ち会えて。かなり感動したし、歩の事もっと大事にしなきゃなって思った」
「さりげなくノロケんのやめてくださいよ。俺のノロケあんまり聞いてくれないくせに」
旦那さんと話し始めた和弥くんを見て、私も高倉さんと話し始める。
そうやってしばらく話していたけど、あまり長居するのも何なので早目に帰ることにする。
「千紗ちゃん、結城さんお祝いありがとう」
「いえ、また一ノ瀬さんと来ますね」
微笑んだ高倉さんが結城さんを見て真顔になる。
「結城さんも、約束守ってくれてるみたいだけど……まだまだ続行中だからね」
高倉さんにそう言われて和弥くんは苦笑いをしながらため息をつく。
「分かってます。本当に歩ちゃんに俺、信用ないのね。こんなに大事にしてるのにな」
そう言って私の腰を引き寄せて抱きしめる和弥くんに私が驚いて慌てて離れる。
「か、和弥くん。何して……」
赤くなる私を見て和弥くんが笑いながら手を繋ぐ。