健康診断の甘い罠
初めて好きになった、少し意地悪だけど何よりも私を大切にしてくれる私の初恋の人。
和弥くんの仕掛ける甘い罠に絡めとられて、もう抜け出す事はできない。
すべては、私の前に和弥くんが座ったあの時から始まっていた。
吸い込まれそうなほどに澄んだ真っ黒な瞳に見つめられたあの瞬間に、私の初めての恋は始まった。
「愛してるよ、千紗」
唇が触れる直前に和弥くんがそう呟く。
罠でも何でもない甘い響きのその言葉に、自然に笑みがこぼれる。
この人に愛されて、私はすごく幸せだ。
私も、という言葉は、和弥くんの唇に呑み込まれてしまって。
私も同じ気持ちだって、伝わるといいなと思いながら和弥くんの身体を抱きしめた。