健康診断の甘い罠
誓いのキスを

青い空を、白い雲が流れていく。それを見ながらいい天気だなと思って立ち止まった。


明日も天気いいみたいだし、俺の日頃の行いがいいからかな。


「あ、結城さーん」


そんなことを考えていると名前を呼ばれた。


振り返ると後輩の平根と高倉さんがいて、平根が俺に突進してくる。


平根の勢いに逃げ腰になる俺の腕を平根がガシッと掴んだ。


「ずるいっすよ、結城さん。自分だけかわいい彼女捕まえて、しかも結婚するとか」


平根に恨みがましい目を向けられて俺は苦笑いするしかない。こいつ高倉さんが歩ちゃんと結婚した時もこんなんだったな。


「明日、入籍するんだろ。休みとったのか?」


高倉さんにそう言われて俺は頷いた。


プロポーズした日から四ヶ月が経って、付き合い始めた記念日に入籍しようってことになった。それが明日だ。


千紗に出会って一年。ここまで長かったような、短かったような不思議な感じだ。


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