健康診断の甘い罠

「とりました。それで写真も撮ってきます」


そう言うと平根がぎゅうっと俺の手を握る。


「いってーよ。バカ力で握るな」


力任せに握られて俺は平根の腕を思いっきり振り払う。


「だって、だって、ずるいっす。結城さんの彼女ってこないだ健診に来てたちっこくてめっちゃかわいい子ですよね。高倉さんは子供産まれて、結城さんはかわいい彼女と結婚して何なんすか」


ま、確かに千紗はめちゃくちゃかわいいけど。俺と付き合い出してから元からかわいかったけどますますかわいくなっちゃって正直心配で仕方がない。


泣きそうな顔でそう言う平根を見て笑ってしまう俺と高倉さんに平根はすがりついてくる。


しかし引くほど餓えてんなぁ。


「結城さんも高倉さんもうちの会社で一、二を争ういい男ですもんね。やっぱり男は顔なんですかね」


そう言うけど平根だって顔はいい方だと思う。かわいいって言われそうな顔してるけどな。


「千紗は俺の顔が好きってわけじゃないと思うけど……」


最初から顔にときめいたりしてる様子なかったし、むしろ怯えてたような気がする。


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