健康診断の甘い罠

「大丈夫?千紗ちゃん。私と一ノ瀬ちゃんが不安を煽るようなことばかり言っちゃったから」


そう言われて私は首を横に振る。


「いえ、大丈夫です。結城さんのことは、自分の目で見て判断しようと思います」


そう言う私に高倉さんが笑う。


だって私、あの人の事何も知らないから。それで判断しちゃうのもどうかと思う。


「うん、そうだね。そういうとこ、千紗ちゃんのいいとこだね。結城さんも男だけど、大丈夫なの?」


そう聞かれると大丈夫ではないんだけど。


あの人、私が男の人が苦手って分かったら転びそうになったの助けてくれた以外は一切触れてこなかった。


「大丈夫ではないですけど、高倉さんの知り合いなので。他の人よりは、信用してます」


そう言うと高倉さんが笑いながら頷く。





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