健康診断の甘い罠
高倉さんの隣でお昼を食べて、おしゃべりしていると高倉さんの携帯が鳴る。
それを見た高倉さんは、私に微笑んで席を立った。
「ちょっとごめん」
そう言って立ち上がって健診会場を出ていく高倉さんを見送って、少ししてから私も立ち上がった。
今のうち、トイレとか行っておこう。
そう思って健診会場を出た私は、外で高倉さんが作業着を着た男の人と話していることに気付いて足を止めた。
背が高くて、少し面長なかっこいい人だ。高倉さんを見てる目がすごく優しくて。
ああ、きっと旦那さんなんだなと思う。
すごく素敵な旦那さんだ。高倉さんと年が離れてるみたいだけど、並んでても全然違和感がない。
なんかすごくお似合い……。
そう思ってついじっと見ていると、旦那さんが私に気付いて笑顔で会釈してくれた。
わあ、笑うとますます優しそうで素敵だ。
それに慌てて会釈を返して、私はトイレに向かう。