健康診断の甘い罠

「千紗もして」


「え!?」


するのとされるのだとなんか違う。


あれ、でも男の人に触れるなら触られるより自分から触る方がまだマシだと思ってたのに。


でもこういう時はちょっと気持ちが違うというか。


緊張しつつ、意を決して和弥くんの右頬に左手で触れて左頬にチュッと唇で触れる。


顔を離してハアッと息を吐いた私の頬にもう一度和弥くんがキスした。


「良くできました。ありがとう」


お礼を言われて頭を撫でられるとちょっと恥ずかしくなってくる。


「こちらこそ、ありがとうございました」


赤くなりつつお礼を言って車を降りる。


「気を付けてね、本当にありがとう」


そう言って笑って手を振る私に和弥くんも微笑んだ。


「こちらこそ、じゃあまたね」


そう言った和弥くんを見送って、部屋に入ってふうっと息を吐く。


< 86 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop