お兄ちゃん先生
やっぱり、お兄ちゃんって――

「なーに?」

お兄ちゃんが女の子みたいに小首を傾げる。どうやら私はお兄ちゃんをじっと見つめていたらしい。どうしたらいいのか分かんなくて、思わず目を逸らした。

「別に何でもないよ」

「本当に?」

今度は訝しげに細い眉をひそめた。お兄ちゃんはいつも怖いぐらいに鋭い。…これも私に対してだけ、なのかな。

「…本当はあるけど」

「え? なになに?」

「言わないもん」だってまだ心の準備ができてない。

隠しごとはしないって約束でしょ、って責められるかと思ったら、お兄ちゃんは諦めたみたいに「じゃあ、話したくなったら話してね」って苦笑いしただけだった。
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