お兄ちゃん先生
でも――

「める――…」

不思議。

お兄ちゃんになら名前を呼ばれても、全然嫌じゃない。低い声も、語尾が更に低くなる癖も大好きだからかな。

でも、お兄ちゃんが他の子の名前を呼ぶのはあんまりいい気はしない。正直、ちょっと嫉妬しちゃう。

先生なんだから皆を下の名前で呼ぶのは当たり前。だけど、でも、やっぱり嫌。

お兄ちゃんはこんなふうに嫉妬する私のことを「可愛い」って言ってくれるけど、本当はどう思ってるんだろって、やっぱ気になっちゃう。

お兄ちゃんは幼い女の子が好き。俗に言う「ロリコン」ってやつだ。本人曰く「よーじょきょーあいしゃ」らしいけど。

子どもが好き――そんな理由で小学校教師になったお兄ちゃんだから、六年生の私なんかより、低学年のもっと可愛い子の方が好きなんじゃないかな、なんて思ってしまう。

お兄ちゃんがわざわざ彼女として私を選んでくれた理由は、いまいち分かんない。分かんないから、不安で、苦しくて、辛くなる。

私はお兄ちゃんのこと、大大大大大好きなのに――…
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