お兄ちゃん先生
お兄ちゃんの背中を見ると、やっぱりお兄ちゃんもオトコのヒトなんだな、って感じがする。

黒いTシャツに浮き上がる背中の骨格とか、意外にがっちりしてる肩とか…髪はちょっと長めだから、首から上だけ見ればショートカットの女の人に見えなくもないけど。

「あー、あいつまたサボッてやがる!」

お兄ちゃんが図書室に入るなり叫ぶので、お兄ちゃんの背中に見とれていた私はビクッてしちゃった。

どうやら、図書委員の男子が今日の当番をサボッて遊びに行っているらしい。暗くがらんとした図書室の電気を点けて、お兄ちゃんは溜め息をつく。

「図書委員って男子ばっかだからなぁ…」

そうなんだよね。私のクラスのヤンチャな男子は大体図書委員。前に、何で図書委員になったの?って訊いたことがある。そしたら男子は皆声を揃えて言った。「一番楽そうだから」。そして当番をサボる。

まぁ、図書委員会の顧問やってるお兄ちゃんだって全く本を読まないからあんまり人のこと言えないのかもだけど。
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop