お兄ちゃん先生
因みに私は児童会長。児童会長が教師と付き合ってるって――しかもその教師がロリコンって――私、かなりいけない子だなぁ。

「じゃあ、めるはこっちの本確認して来て。俺はあっち見てくるから」

プリントを一枚挟んだバインダーとボールペンを私に渡して、お兄ちゃんは本棚を指差す。プリントには本の名前らしき言葉と人の名前がたくさん並んでいた。

ここに書かれている本がきちんとここにあるか確認すればいいらしい。私はプリントを見たまま頷いた。

絵本、図鑑、伝記、ライトノベル。
一つ一つ確認しながら、ふと私が暫く本を借りていないことに気付いた。

四年ぐらい前までは、数少ない図書室の常連客だった。毎日本を借りて、宿題もしないで本を読んでいた。

でも、最近は全然借りていない。最近、というか、東野圭吾や宮部みゆきを読み始めた小学三年生あたりからか。お兄ちゃんの言葉を借りると「幼女全盛期」の小三で、私はもう縦書きの小説を読んでたんだな。

この頃は宿題と児童会の仕事が忙しくて読書も疎かになってるけど、暇な土日はお兄ちゃんとラブラブする間を縫って本を読む。

中学校の図書室には有川浩とか浅田次郎とかの本がいっぱい揃ってるみたいだから、早く中学生になりたいな、なんて思うこともある。

でもそしたら、学校でお兄ちゃんと逢えなくなっちゃうんだよね。そして何より――

――お兄ちゃんの好きな「小学生」じゃなくなっちゃう。

お兄ちゃんの恋人として、小学生であることが何よりのステータスだった。でも、あと半年ちょっとで、そのステータスもなくなる。

「小学生じゃなくなっても、私のこと好きでいてくれる?」

そんなこと、怖くてとても訊けない…
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