線香花火
透花
久しぶりの学校で、寝坊してしまいそうになった。

こういう時は、もういいや、と遅刻するパターンだったが、今日はどうしてか早く学校に行きたかった。

…透花に会いたかった。


足が取れそうな程、必死に走って走って、やっとの思いで着いた頃はもう足は限界だった。

勢いよく扉を開けると、丁度チャイムがなる。

残念。隣のクラスに行く時間は無かった。次の休み時間にでも行こうか。

そうして、先生の話も頬杖をついてぼーっと聞いていると、そいつの口から、彼女の名が出た。

ハッと我に返る。こんなことで我に返るなんて、小学生か、と突っ込みたくなる。そういえば、なんの話をしているのだろ―


「隣のクラスの森田 透花さんが、つい先程、亡くなられたそうです」

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