線香花火
奇跡
「ふふ、そんなにびっくりしなくても」

「あ、ご...ごめ...ん」

コミュ力0な僕は何億年ぶりに人と会話という会話をしただろうか。声が出たことに驚きだ。我ながら今の会話は100点と言って良いだろう。そんなことを考えていると、綺麗なその声が聞こえた。

「きみ...ずっと寝てたでしょ」

「ふあ?!なんで知って...」

「えへへ、見てたもん」

「そんなに僕寝てた?!!!!」

多分僕の顔は真っ赤に染まってる。
どうしようもなく、手で顔を隠す。

「ふふ、ぐっすりだったね」

「うぐ...」

「そういえば、きみ名前は?」

「僕?僕は、森本 夏生」

「な...つき君...素敵な名前...あっ!私は、森田 透花。透花ってよんでね」

「おお、森本と森田...なんかすげえ」

自分で言って恥ずかしくなった。
なんだよ、なんかすげえって。
恥ずかし...

「ほんとだ...すごいねっ」

それでも透花は笑って話してくれる。
その笑顔に俺は溶けてしまう。

久しぶりにこんな風に笑ったや。
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