じれったい
「つきましたよ」

玉置常務に声をかけられ、ハッと我に返った。

いけない、しっかりしなければ。

ぼんやりしそうになっていた気を奮い立たせると、玉置常務と一緒に車を降りた。

私は玉置常務から3歩ほど離れて、彼の後ろをついて行くように歩いた。

初めて見た時も思ったけど、本当に背が高いなと思った。

35度を越えている気温の中で玉置常務はピシッとスーツを着こなしていた。

スーツのうえからだけど、それでもよくわかるくらいに背中が引き締まっていた。

その背中を抱きしめたいと思った私は、ただの変態である。

そう思っていたら、玉置常務がこちらの方に振り返った。

しまった、気づかれた!

彼がこちらを振り返ったと言うことは、私が思っていたことがバレてしまったに違いない。
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