じれったい
私も彼らのように誰かと一緒に歩くことができる日がくるのだろうか?

だけどその前に、
「お母さんに依存しているところを直さなきゃダメだよね…?」

私は胸に手を当てると、ギュッとパジャマのうえから握りしめた。

2人で話をしながら夜の街を歩いているその光景は、とてもうらやましかった。

第3者からして見たらたいした光景じゃないって言われそうだけど、何の経験もない私からして見たら心の底からうらやましい光景だ。

――このチャンスを逃してしまった場合、あなたは1人寂しく生涯を終えなければいけません

いつか言っていた易者の言葉が頭の中に浮かんだ。

ハッと、私は気づいた。

近いうちに訪れるチャンスって、これのことだったの?

母親への依存を解かなければ、私は1人の生涯を送らないといけないって言う意味だったの?

映画はもう終わっていて、画面にはエンドロールが流れていた。
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